みどころ

四季を感じる美肌の湯「長沼温泉 ヴィーナスの湯」

 

長沼といえば、登米市で人気のお出かけスポット。長大なローラーすべり台といった遊具やキャンプ場もある長沼フートピア公園に、東京オリンピック・パラリンピックの会場候補にもなり、ポーランドのボート選手の事前練習場に選ばれたボート場、夏に群生するハスなど見どころいっぱいです。

そんな長沼を見渡せる高台に、温泉があることはご存知ですか?

その名も「長沼温泉 ヴィーナスの湯」。いろいろな工夫が凝らされた天然温泉施設です。

 

 

まずはさっそく温泉へ

39度と熱すぎずちょうどいい湯加減がいい気持ち。

保温、保湿効果があるお湯なので、体がポカポカ温まって、神経痛・筋肉痛にも効果的。長沼周辺をウォーキングしたり、公園で遊んだ後に訪れるのもおすすめです。ゆっくり浸かって疲れをデトックスすれば、心もほぐされそのうえ美肌に。

 

大浴槽の他に、和風風呂には、「自然治癒力を戻す 薬湯」もあります。訪れた日はわらびの葉薬湯の日でした。

その他水深0.9m、心地いい刺激を感じられる低周波バス、その名も「元気風呂」を楽しむことも。

洋風風呂には寝湯や、水深1.2mの立ち湯が。

和風・洋風浴室どちらもサウナ室を完備。和風・洋風浴室は、男女日替わりで利用できます。

温泉に面した窓の外には長沼が広がります。ハスの季節が美しいのはもちろんですが、長沼の魅力は春夏秋冬さまざま。折に触れて訪れたいおすすめの場所です。

 

 

休憩所で一服

さて、たっぷりお湯につかったら、休憩所で一息。

地場産品のシソジュースはいかが?色がとてもきれいで、写真映えもばっちりです。

 

長沼のハスの葉で作られたハスの葉茶は、やさしい香りでほっとする味わい。ハス茶は楊貴妃が愛したデトックス効果のあるお茶で、血圧が高い方や脳梗塞予防にもいいのだとか。昔は薬として飲まれていたと言います。

この長沼のハスの葉茶、現在商品としての販売はなく、ヴィーナスの湯では飲むことができるという希少なおいしさ。じっくりいただきました。

現在はコロナ禍の影響で食堂は営業していないが、喫茶は利用することができる

 

 

五感で楽しむ四季

ヴィーナスの湯周辺の遊歩道を歩けば、長沼ならではの季節が織りなす魅力を、五感で楽しむことができます。

7月末から8月にかけて、午前中には開花したハスの花の香りが立ち込めます。ハスの花は咲いてから3日しか持たないという儚さ。同じく夏に、くずの花も美しく香ります。かつてお盆には長沼のハスの葉を出荷しており、ジュンサイや長沼えび、長沼鰻に鯉なども取れたそうで、長沼が育んだ命の豊かさに感じ入ります。8月にはハス祭りや長沼の花火大会もあり、見どころの多い季節です。

秋口になると、トンボの姿が増えてきます。チョウトンボといった絶滅危惧種など、長沼周辺にはとにかく多種多様なトンボが現れるようで、秋は虫好きの方にもおすすめの季節。初夏から咲き始めるノアザミも、秋までその姿を楽しませてくれます。

登米の魅力である田園風景も、春夏秋冬その表情を変えますが、たわわに実った金色の絨毯にシラサギの止まる美しさは、1年のハイライトと言えるかもしれません。

冬には白鳥や鴈が、実り豊かなこの地へ越冬しに訪れます。渡り鳥のねぐら帰りで空が真っ黒になる様は圧巻。登米冬の風物詩で、関西方面からもこの風景を眺めようと観光客が訪れます。

2月に白鳥や鴈がシベリアへ戻り、じき雪解けが訪れます。栗駒山の残雪が馬と種まきぼうずの形(着物を着た子どもが袖を広げた様子)になったら田植え開始の合図。春の訪れです。

かっこうやうぐいすが歌声を競い、桜の花びらが空気すらも薄桃色に染め、地面にはねじり花が群生する。生命力に満ち満ちた場所で、自然のエネルギーをいっぱいに吸い込みたくなります。

訪れた日はあいにくの曇天。それでも感じられる豊かな緑の存在感癒

 

長沼博士、登場

四季の長沼の魅力を教えてくれたのは、ヴィーナスの湯の統括マネージャー阿部陽子さんです。

入浴指導員、泉質・水質・井戸水の衛生管理、企業配水などヴィーナスの湯運営にかかわるたくさんの役割を担い、施設を切り盛りしている阿部さんですが、長沼博士!と言いたくなるほど、長沼や周辺エリアの歴史や環境保全活動についても知識が豊富。

例えば、兵粮山(ひょうろうやま)は、伊達政宗が佐沼城を滅ぼす時に、食料を蓄えていた場所だからついた名前。

宮城県一大きな沼 長沼にある長沼ダムは、日本一の規模を持つアースダム。

江戸時代にその長めの美しさから歌に詠まれた長沼八景についてなどなど。

 

知識はもちろんですが、その行動力も、見習いたい限りです。

登米のコミュニティラジオH@!FMでは、月1回番組に出演し、長沼の自然とヴィーナスの湯情報を発信。地元のシンガーソングライターとコラボして、ヴィーナスの湯のテーマソングをつくり歌う(館内を入ると流れています♪)。季節ごとに美しい長沼夕景に名前をつけPRする。ハスの葉茶や長沼温泉のお湯を配合した化粧品を開発。エネルギーの源は、あふれる長沼愛・ヴィーナスの湯愛。

「20代~40代の女性が仕事で活躍できる場所をつくっていきたいんです。そのためにも50・60代ががんばらないと」と、心強い言葉を聞かせてくださいました。

 

 

癒しの場所

その熱意は、10年前から変わっていませんでした。

震災時には宮城県南三陸町の方々・福島県の子どもたちに入浴を提供。ヴィーナスの湯が被災者の方のひとときの癒しになりました。

最近では、2020年9月に登米市と「災害時における入浴施設の利用に関する協定」を締結。内容は、災害が起こったときに、被災者が清潔を保ち、またメンタルケアの一環にもなるようにと、「ヴィーナスの湯」の入浴施設を利用できるようにするもの。登米市において民間ではじめての防災協定だと言います。

常連さんたちの「われわれの癒し」という言葉に励まされ、ヴィーナスの湯はコロナ禍、営業時間やサービスを縮小しながらも元気に営業中。

はす祭りの時期に行われる、蓮の葉に地酒を注ぎ茎から吸い込む「蓮華杯」のサービスが再開されるのも待ち遠しい限りです。

 

 

猫にたくさん出会えたり、阿部さんの息子さんのおもちゃだった電車が、館内外に飾られていたり、実は家族連れにもおすすめのスポットなんですよ。

お近くに立ち寄ったら、ぜひ体も心もあったまりにきてください。

施設外にある「湯けむり電車ハウス」

 

 

 

長沼温泉ヴィーナスの湯

宮城県登米市迫町北方字兵粮120-1

営業時間 10:00〜20:00(20:50閉館)

定休日 第3水曜日 ※臨時に休館することがありますのでお問い合わせください。

電話 0220-23-1126

公式サイト http://www.venus-no-yu.jp/