みどころ
幾何学アートの世界へ サトル・サトウ・アート・ミュージアム
登米市中田町には、世界的なアーティスト・佐藤 逹氏の美術館があるということで、地図通りたどり着いたのがここ。
建物の上に、確かにアートミュージアムと書かれているのが見えますが、一見、外観は美術館のようには見えません。
スタッフの方に案内され、建物の3階の突き当りの部屋へ進むと……。
外観からは想像できない展示室が現れました!
展示室の壁には、カラフルな幾何学構成のアート作品が展示されています。この作品が、佐藤 逹氏によるもの。では、彼は一体どんな方なのでしょうか。
世界的アーティスト 佐藤 逹
1945年、登米市中田町石森に生まれた佐藤 逹氏は、東京の東洋美術学校卒業後、パリへ渡り、国立美術学校へ留学します。
幾何学構成の絵画を描く今の作品のスタイルは、1970年に旅行で訪れたエジプトがきっかけ。エジプトのピラミッドの構成・構造を見て、幾何学の原点に接し衝撃を受けたといいます。
ピラミッドの各面は正方形で、それぞれの面は正確に東西南北の方位に対面していて、四つの角は完全な直角となっています。その技術力の高さや均一な形に美を見出した佐藤氏は、自身の作品に幾何学を取り入れるようになっていきます。
その後、幾何学構成的絵画の系譜に関わるアーティスト達と交流を深め、個展や作品を制作し、世界的なアーティストとしての地位を確立していきました。
佐藤 逹氏と交流がある世界中のアーティストの作品展示室。こちらも幾何学構成アート作品が中心
2つ目の展示室には、現代アートのアーティストによる映像作品を上映。映像作品の展示は、2020年〜初の試み(2021年2月現在本展示は終了)
登米にアートを根付かせたい
平成17年、廃校となった旧中田町小学校の建物を利用して作られたサトル・サトウ・アート・ミュージアムは、生涯学習センターの機能も併設されています。
佐藤 逹氏が生まれた登米にこのような場所を作ったのは、地域の子どもたちがアートに触れる機会を作りたいという、サトル氏の想いがあったから。
2020年はコロナ禍でワークショップや講座が実施できませんでしたが、例年夏には、佐藤氏がパリから登米へ帰省し、子どもたちにアートの楽しさを伝えるワークショップを行っています。
地域のこどもたちと一緒にワークショップを通して作られた作品は、ミュージアムの建物の前庭に展示されている
幾何学構成アートというと少し難しいイメージを持ちますが、実は、シンプルな形の組み合わせから生まれる身近な表現。そのことを、佐藤氏はワークショップや作品を通して伝え続けています。
登米市内には、佐藤 逹氏が手がけた作品が17箇所に点在しています。
ミュージアムの近くの諏訪公園には、地元の子どもたちと一緒に作ったオブジェが設置されていたり、佐藤氏がデザインを手がけた橋「夏川ポン・デザール」があったりと、市内を回っているだけで作品に出会うことができます。
サトル・サトウ・アート・ミュージアムはもちろん、暖かくなってきたら、野外アート作品をお目当てに登米を散策してみてはいかがでしょうか。
サトル・サトウ・アート・ミュージアム
宮城県登米市中田町上沼字舘43 登米市中田生涯学習センター3F