登米に暮らす
枝豆は「郷土食」として~登米地方の手仕事 自産自消を楽しむTome暮らし⑥~
連載シリーズ、Studio.K特派員からの寄稿第6弾!
<野菜こそ自産自消で>
昨年から続く米や野菜をはじめ、食料品の高値の傾向で、食卓への影響は切実。さらに、年々暑さが厳しさを増していることもあって、野菜の栽培もなかなかに難しい傾向。されど、こんなときこそ「食」を控えずに「自産自消」で乗り切りたくなるのも、持って生まれた天邪鬼な気質かと。子どもたち&孫たちの帰省に合わせて、いつでも採りたての野菜を提供できる実家でありたいもの。
4月初めの年中行事、折に触れ夫婦で話し合う「今年の野菜つくり」メニュー。何を育てようか思案している時期は、楽しい時間が流れている。5月の連休あたりから畑を耕しつつ、育てるものを少しずつ決めていく。何を、どれくらい育てるかを絞り込みながら、種や苗の仕入れを開始。ここからは先人の曰く「急いてはことを仕損じる」ので、空模様や気温の予報をみながら作業スケジュールを調整。植え付けの順番を整理しつつ、種や苗の購入が始まる。
野菜を育てるフィールドは、自宅の庭に約1m四方で2カ所。さらに、奥さん実家の居宅周辺で、50㎡くらいの畑①と30㎡くらいの畑②を使わせてもらっている。休日だけで作業する立場なれば、面積は十分すぎるほど。
<畑の作業は、お天気仕事>
発芽したり、苗が育ったりしていくにつれ、作業時間は増えていく。楽しさ半分・大変さ半分くらい…か。現実的には、雨天を避けながら作業を組み合わせていく。水やりや雑草の処理のほか、育たなかった苗の補充、野生生物(タヌキ・ハクビシンなど)対策など、負担感もそれなりに。昨年は、暮れかかる畑でキツネと対面なんてことも。
雨には勝てず、されど作業は休日のみで、準備も含めて週間天気予報の細かいチェックが大切。とはいえ、昨今は何につけ腰が重くなってきたのも、これまた事実であり現実。
<何を、どれくらい育てるか>
5月の下旬ごろには、種から芽吹いたものも、苗を購入したものも、1割くらいの脱落はありながら、それぞれが育っていく。自宅では、インゲン、ピーマン、中玉トマト、ミニトマト、オクラ、ナス、キュウリ、キャベツなど。少しずつ植え付けるのが、バラエティーを楽しみつつ、全滅の回避にもつながるかと。今シーズンは、昨年、育てたオクラから採取した種(「地種=じだね」と呼ぶが、登米地方では「ずだね」と)で栽培に挑戦。今のところ、しっかり育ってくれているのがありがたい。
【オクラの花~ちょっと可憐な感じ~】
また、奥さん実家の畑①と②は、冬越しの玉ねぎが驚くほど大きく育ち、収量も十分。ジャガイモも、食べ残しのイモを種にして育てたとは思えないほど、味も収量も合格点。自宅の畑と同様、インゲン、ピーマン、中玉トマト、ミニトマト、オクラ、ナスを少しずつ植えたほか、枝豆やカボチャ、地這いのキュウリなど、広さを生かせるように植えた苗も順調に育っている。
【採りたては夏野菜カレーで~玉ねぎ・ジャガイモ・ナス・インゲンをいただき~】
<枝豆を育てるにあたり>
今シーズンの作業に向けて、思い描いたプランは「玉ねぎ・ジャガイモ・枝豆を多く収穫する」こと。特に、枝豆は、昨年から採用している種から育てる方法でいくことに。種まきから収穫まで2カ月半くらいが標準とのことで、5月半ばが第1クールの収穫には良いタイミング。種まきにあたり、苗の間隔を広くした方が、育ちもよく作業も楽だろうと予想し、スペースをレイアウト。日常管理では状態の確認が必要で、乾燥しすぎにも水分過多にもならないような水やり、2週に一度くらいで過多にならないような追肥と、まめに畑に通うしかない。
種から順調に発芽・成長しても、猛暑・乾燥だけでなく、雑草や風もなかなか強敵で、支柱の設置・交換など、いくつかのサポートが欠かせない。昨年は、広めに間隔をあけたのが効果的だったためか、段ボール箱2個がいっぱいになるほどの収量に。今シーズンも、かくありたいもの。
【今シーズンの枝豆~この状態を2列で栽培中~】
<郷土食を引き継ぐ「とめ暮らし」で>
わが家で枝豆といえば、やはり郷土食「ずんだ」でいただくのが基本。ゆでたてを湯切りしてボールにあけ、さやのままで軽く塩をし、ちょっと待ち時間。
【採りたて&ゆでたての枝豆】
冷めてきたころ合いをみて、茹で上がりの豆をボールにはじく。豆から「ずんだ」に仕上げるのに、イマドキは「ミキサーでちゃちゃっと」もありとはいえ、やはり伝統的な「すり鉢&すりこぎ」を使う「昔ながらの人力作業」でいきたい。優しくしないと、すり鉢から豆が飛び出すので、慌てず、急がず、何より根気よく。手間を惜しんでは、美味しいものはいただけない。
【郷土食らしく、すりこぎ&すり鉢で】
丁寧にすりこぎを当て、少し粗めにすりつぶしていく。甘味が控えめになる分量で砂糖を加え、わが家風「ずんだ」ができあがり。均一なペースト状ではなく、手作業ゆえの不揃いの仕上がりが口あたりの妙につながり、まさに自産自消ならでは。
【ずんだ餡のできあがり】
奥さんが、小麦粉を練って「はっと生地」をゆで上げてくれているので、郷土食「ずんだはっと」まで、あとはまぜ合わせるだけ。採りたて&ゆでたての豆の風味が口に広がり、つるんとした「はっと」との組み合わせも心地よく、まさに「口福」の味わい。奥さんに止められるまで、ついついオカワリが止まらない…。
【ずんだばっと~「はっと」にからめて、いただきます!~】