くらし

採りたてか保存食か~登米地方の手仕事 自産自消を楽しむTome暮らし⑫~

<田んぼに水が入ると…>

5月の連休を過ぎると、登米市内では田植えの作業が佳境に。

視界の範囲すべてが水を湛えた水田となる風景は圧巻で、さながら空を映す大きな水鏡のよう。

日の出や夕景の刻、太陽の光がまっすぐに水面上を伸びてきて、特に梅雨入り前ぐらいの時期には、日の入りに近い時間帯の好天のタイミングで、赤系色のグラデーションが形容しがたいほどに美しい。

立夏を過ぎたあたりの時期から稲の苗がほどよく成長するまでの期間限定、しかも晴天のもとでのみ目にすることができる、当地ならではの名シーンかと。

 

<6月12日は宮城県民防災の日>

昭和の話題で申し訳ないですが、1978年6月12日・午後5時14分発災の宮城県沖地震。

高校の定期試験期間ゆえに、自宅で試験対策中。夏至から10日ほど前の時期、戸外はまだまだ明るく穏やかで、まさに「虚を突かれた!」というのが正直なところ。

あの日の衝撃は長い年月を重ねた今も忘れられず、岩手・宮城内陸地震や東日本大震災などを経てきたからか、被災対策に思いが至ることも。

食分野での基本は「お米の確保」からになるが、自産の野菜たちにも非常食・保存食の役割を期待するところではある。

 

<今季の野菜、育つペースと育ちのイメージにズレが>

今シーズンは、野菜の成長が自分のイメージよりだいぶ早いように感じる場面が。

少量&多種が基本の栽培者としても、わずかに戸惑いを感じていた。

5月半ばに収穫できるようになった茎ブロッコリーは、6月に入ると花が咲き始めて。

6月を迎え、全体的に小さめながら90個ほど収穫できたタマネギは、見慣れた形に育っていない個体がいくつか。同じく、ジャガイモは1週間ほど早く作付けした分を収穫。

一口大サイズでもタマネギ&ジャガイモは廃棄しない。

十分に洗って水気をきり、サラダ油で素揚げし、昆布だし&めんつゆで味を調える。

タマネギの甘さやジャガイモのほくほく感は、まさに採りたて!

【収穫したタマネギ~採りたてを洗い、らっきょう酢で浅漬に~ 】

 

【今シーズンのジャガイモ~キタアカリ&メークイン】

 

【タマネギ&ジャガイモの素揚げ~調理の工夫で食べきるように~】

 

同じく6月に入ると、ピーマン&ナスが1個ずつとはいえ食べられる状態まで実り、ミニトマトは緑色のままではありながら実が膨らみ、キュウリも同様の成長が。

ミニ大根や小カブも続々と食べられる状態に…、などなど。

【今シーズン初実りのナス】

 

【ミニトマト&キュウリも着々と~期待が空振りしませんように~】

 

【順調に育つミニ大根~ここまでくると間引きではなく収穫か~】

 

なお、昨年の実から用意した種(地種)をまいて育てようと試みたオクラが、種まきから25日ほども経過した後、諦めかけていたタイミングで発芽し始めるなど、育ち過ぎのような状況とは逆の意味で「どういうこと?」と感じる場面も。

気温・湿度・晴天や曇天や降雨・日照時間など、人間の営みでは変えようがない条件が複雑に絡み合って野菜の育ちを左右しているのかもと、地球温暖化のような方向に思いが向かうのも、折に触れ、ネイチャー・フォトにもチャレンジしている自分らしい?

そういえば、いつでもどこでも熊と遭遇する事態を迎えている昨今、4月には実家のすぐそばで目撃情報があり、先日は自宅&奥さん実家の周辺にも出没。畑仕事・草刈り・竹切り・梅の収穫など、自産自消の継続にも、ちょっと不安が広がり始めている。

 

<今年のタケノコはハードタイプ?>

少し時間を戻してみるが、毎年5月から6月にかけての大きな負担が実家の竹切り。どんどん芽吹いて伸びてくるタケノコを取り除きつつ、既存の竹を切り倒していく日々。除去したタケノコは、状態をみて皮をむき、持ち帰るのがこれまでの例。ただし、今シーズンのタケノコは、節の間が短く、身も厚く硬いものが多い印象。下処理をかなり頑張れば食べられるが、タケノコの処理作業は時間との戦い。熊の出没情報と相まって、現地処分の量が増えている。例年、採りたての旬をいただくほか、漬物樽3個ほどの量を塩漬けで保存しているが、今年は樽1個くらいかもと見込んでいる。

 

【タケノコのアク抜き~節間の空気が膨張して破裂しないよう、切り目を忘れずに~】

 

<重宝な存在-大根や小カブ>

大根は、昨年、秋採りのミニタイプ(白い部分が15~20cmほど)を選択して初挑戦したところ、育てるのも収穫するのも調理するのも簡単で。よって、今年は夏採り大根もフルではなくミニを選択、小カブと並べての種まきから栽培開始。どちらも30日ほどで間引きを始め、葉の部分をいただくことから。

寒冷期なら、どちらもキツく塩漬けにして長く味わうほか、ミニ大根はフルサイズと同様「たくあん」にと、保存食での処理を選択しがち。されど、高温多湿の時節柄、漬物にするのも危うい気がして、採りたてをいただこうと。

【小カブの浅漬~葉の部分を少し残すのがポイントかと~】

 

【小カブの千枚漬~サイズは「小カブ」と言えないかも~】

 

小カブは葉の部分を5cmほど残した姿で浅漬けに、ミニ大根の葉はゴマ油で炒めていつものとおり味を「人は登米のだし」で整える。どちらも、ご飯に合うこと請け合い。

但し、葉のあちこちに小さい虫がついているので、塩素に浸し、十分すぎるほど洗い流すステップを経ることに。

 

【ミニ大根の葉はゴマ油で炒めもの~「人は登米のだし」と良くマッチ~】

 

<梅は塩と地場産の紫蘇の葉で>

雑草の刈り取り&竹切りから少し遅れて、梅の処理の日々が。これまでは年間10kgを目安に梅干しを作ってきたが、昨年から「収穫に合わせた漬け込み」と、無理せず「梅作業」に向き合う方向に。

世間では「黄色味を帯びた完熟の梅」を甘く煮込むなど、採りたてをいただく方が多いようで、私のように「完熟前の青梅」を収穫して漬け込み、1年後くらいから食べ始める保存食党は少数派かも。

収穫時に「コンコン」と音がするほど固めの緑の梅が、水と塩と紫蘇と太陽のおかげで、長く食べられる赤紫の梅干しとして保存できるのは、自然の恩恵というか先人の知恵のおかげというか。

 

<ご飯に梅干しとタケノコがあれば…>

このところ、規模の大きい地震が各地で頻発し、不安がよぎることも。自分の食としては「ご飯&梅干し」のペアが基本で、塩漬けのタケノコを戻して料理する煮つけや炒めものがあれば言うことなし。

しかしながら、社会人として独り立ちしているとはいえ、子どもや孫がいる身であり、自産の野菜の「採りたて」あるいは「保存食」のレパートリーをもっと広げておきたいというのもまた本音。ずっと高いところにある「創意工夫」を思い描けば、いくつ年を重ねても「やりたい&やるべき」ことが見つかるらしい。老いの身をきちんとケアしつつ、今シーズンも猛暑での外仕事に無理せず向き合っていこうか。

【栗駒山の夕景~石越町南郷字石ケ崎前地内から~】