登米に暮らす

初夏はタケノコとともに~登米地方の手仕事 自産自消を楽しむTome暮らし⑤~

連載シリーズ、Studio.K特派員から、Tome暮らしの寄稿です。

 

初夏はタケノコとともに

ゴールデン・ウイーク明け、世間的には休みの間の楽しい話題が尽きない中、私の5月は石越の実家の竹林に入り浸る日々がスタートする時期。

<どんな竹?>

私の実家を覆う竹林、正式な竹の種類はわからないものの、孟宗竹ほどはゴツイ感じがない。本体の見た目は少し細めの「マダケ」のようにもみえるが、タケノコの姿・形は「ハチク」とそっくりで、自分としては「ハチク」なのだろうと思うことに。

一雨ごとにどんどん出現してくるタケノコのパワーは大変なもので、週末に収獲しても次の週末までには同じぐらいの状態に伸びていて、収穫前と同じシーンが、毎週、目の前に再現されているイメージ。新しく伸びてくるタケノコを毎日のように収穫・伐採したいとは思うものの、それでは生活が成り立たなくなるので、オン・シーズンの毎週末、見える範囲で間引きするのが精いっぱい。竹細工や竹炭など、加工用の材料として調達したい方には、ぜひ実家の竹をご覧いただきたいところ。

 

<春は竹の秋>

世に「春は竹の秋」と称されるこの季節は、竹の繁茂をセーブするため、タケノコを収穫して食べきるか、食べきれないものは切り倒してしまうか、なかなかに気が抜けないマッチアップを毎年展開。3週間ほどはタケノコと過ごす週末、多いときには1シーズンで200本以上を採取することも。竹林の間引きの意味もあるので、畑仕事や梅の収穫と重ならないよう、頑張って竹林に入っている。

【収穫直後~ここから外皮をむいていく~】

 

<収穫後は、すぐに下処理>

採取後は、現場で皮を取り除いて根元の固い部分を切り落とし、米の空袋に入れて自宅に。米袋は乾燥防止にちょうどよい。下洗いで汚れを落としたら、タケノコはキッチンでしばしの休憩。その間、次の日のご飯の準備で米をといでおくが、この「とぎ汁」を活用してアク抜きができる。まさに、タケノコは、米を主食とする日本人の食生活に適した食材といえるか。

 

【外皮をむいて、現場作業が終了】

<まずはアク抜きから>

大きめの鍋に入るサイズに切り分け、先ほどの米のとぎ汁で煮立ててアク抜き。この「アク抜きの作業」には、米の糠や重曹を使う方も多いとのこと。わが家ではずっと米のとぎ汁を活用していて、使用後に捨てるときも、温度を下げつつ家庭菜園の水やりに再利用。

この「アク抜きの過程」では、とても注意すべきことが一つ。大き目の鍋にコメのとぎ汁を入れてガスコンロにかけ、弱火で加熱していく作業工程なので、節の中の空気が抜けるよう、あらかじめ切り目を入れておくのがコツ。これを怠ると、加熱されたとぎ汁の中で、タケノコの節の中の空気が膨張。逃げ場をなくした空気が「パン!」という破裂音とともに、十分に温度の高いとぎ汁を周囲に飛ばすことになり、とても危険。わが家ではこれを「爆発」と呼ぶ。

タケノコの表面から少し色が抜けた感じというか、全体が少し軟らかめになったら火を止め、そのまま朝まで寝かせておく。朝になったら、水洗いしてぬめりを流す。ここまで進められれば、タケノコはどうにでも調理し放題。

 

<すぐに食べるときは>

すぐに食べるときは、アク抜き後の洗い立てを刻んで調理。10本ぐらいなら、1回のアク抜き作業で下処理は完了。採りたてのタケノコを前にすれば、どんなメニューにするかが迷いどころ。軽く煮流してワサビ醤油で刺身風に、「登米のダシ」に醤油でちょっと味を加え、さっと煮上げてカツブシをふるのもあり。栗ご飯のときのように「登米のダシ」でモチ米と炊き込むのも、採りたてをいただくメニューらしい。さらには、採りたてのさっぱり感を隠すように、あえてゴマ油&醤油でタケノコ単品を炒めてからラー油で風味付けする「ピリ辛風味」も、ご飯が進むこと請け合い。

また、ちょっと手をかけられるときには、大豆・ニンジン・ひじき・サツマアゲと合わせた煮つけ、キャベツやこんにゃくと共に塩&胡椒での炒めものなど、さまざまなアプローチを工夫している。

【筑前煮風に】

 

<食べきれないときは>

1日の収穫量が10本以上になると、なかなか1~2回の調理ではさばききれない。そんなときは、アクを抜いた後に漬物樽に漬物用ポリ袋をセットし、キツく塩漬けにして保存。塩を控えるとヌメヌメになって食べられなくなるため、調理のタイミングでしっかり塩抜きをすることを念頭に、手控えなしに塩を投入。順番は、樽にタケノコを並べたら塩を十分にふり、その上にまた並べて塩をふるの繰り返し。なので、けっこうな量の塩を使う。前述のとおり、梅干し作りの作業も想定しながら準備を進めるため、この時期は5㎏入りの塩を6袋くらい準備しておかないと作業が中断。万が一、足りなくなると、梅の作業は途中でストップとはいかないので、1~2回の調理でさばけない量のタケノコを現場に捨ててくることに。この10年くらいで、タケノコのアク抜きができないとか、そこまでしてタケノコを食べなくてもいいという家庭が増えてきたように感じられるので、お裾分けもよ~く考えないと「好意の押し売り」にしかならない。

漬けおいたタケノコは、しっかりと塩抜きをした上で「新米での炊き込みご飯」や「年末年始の煮つけ・炒めもの」のお供に、また「野菜の少ない・高い時期の貴重な食材」にと、良い役割を果たしてくれる。

【ナムル風に】

 

<自己主張の少ない食材だからこそ>

タケノコは、余分な香りや味が少なく口あたりもよいことから、いろいろなメニューに登場する見事な脇役。また、近年では「尿酸値の改善(プリン体排出)」、「高血圧の予防・改善」、「豊富な食物繊維による腸内環境改善・免疫力アップ」などのほか、「アンチエイジング」や「肌荒れ予防」など美容面での効能も語られている。タケノコの収穫は時間との戦いで、暑さに体が馴染む前の時期であるために体力面での負荷も大きいとは思いつつ、採りたてでも漬け込んでも重宝するタケノコをいただくためなら、もう少し頑張れるかも。

 

【大豆&ひじきにキャベツとニンジンをあわせて】