登米に暮らす
芽吹きを励まし、励まされ~登米地方の手仕事 自産自消を楽しむTome暮らし⑪
連載シリーズ、Studio.K先生からの寄稿第11弾!
<季節は春から初夏へと>
日本には「二十四節気」といって、季節の移り変わりを容易にイメージできるような表現が毎月2日、暦の上に配置され、うつろいゆく自然の風情を短く的確に言い表している。
新年も三が日を過ぎれば、「寒さに気をつけよう」と「小寒」、1月の半ば過ぎには「寒さが厳しくなるよ」と「大寒」。豆まきの日として定着している節分の翌日には「立春」、2月半ば過ぎには「雨水」。
3月に入ると、土の中で冬ごもりしていた虫たちが姿を現す意味の「啓蟄」、春のお彼岸の時期には「春分」。
4月に入るとすぐ、桜の季節をイメージさせるような「清明」があり、20日前後には「穀雨」が田植えや野菜の種まきの準備を始める適期の到来を知らせてくれる。
こうして、季節感を表す言葉からも「冬~春~夏」に向かうことになり、5月の連休後半に配置される「立夏」へと続いていきます。
<雨水を迎えたといっても>
2025年から2026年にかけては、年末・年始の寒さが記憶に残ってはいるものの、その分だけ降雪があったろうかと振り返れば、それほどでもなかったような。
乾燥した冷たい風と厳しい冷え込みのようなイメージで、畑の状態も気がつけばカラカラ、パサパサに近く、冬越しの苗のどれもが大きなダメージ。
だからといって「給水」したのでは凍結により瞬殺されてしまうのが明白で、それは回避するしかないところ。苗の生命力を信じて共に「ひしっ!」と耐えつつ、最低気温が氷点下にならない時期を待つしかなく…。
【冬越しタマネギ~復活の兆しがありがたい~】

<啓蟄のころから徐々に復活へと>
瀕死の気配が漂う冬越しタマネギの苗も、「雨水」を過ぎるころから回復の気配が伺えるようになり、「啓蟄」のころには給水と追肥で復活の様相を呈してきた。
晩秋~初冬の収穫期までに成長・結球しきれなかった白菜は、冬の冷たい風でしおれた姿になりながら、春の陽光を受けると新芽が成長し、淡いグリーンで目を楽しませつつ食卓を彩ることに。
根よりも少し上の部分で収穫していたキャベツは、株を抜き捨てることなく畑で冬越しさせたところ、「春分」のころから脇芽が次々と伸びてきた。
色はちょっと硬めを思わせる濃い緑色で、食べるのがためらわれるような外観ながら手触りは思いのほかやわらかく、かるく茹でるとキャベツらしい食感に。
辛子マヨネーズ和えにしてみたところ、ご飯が進み過ぎるほどに。
【紫キャベツ(左前)&茎ブロッコリー(左奥)は、苗から育てる。株を残して冬越しの去年のキャベツ(右)は、脇芽がとても美味】

<春分を過ぎれば>
世に「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるが如く、春分の日からは安心して畑に手を入れられている。
春彼岸の頃の記憶をたどれば、畑に肥料を補って耕し、畝をたててジャガイモの作付けをしていたような…。
【ジャガイモの芽吹き~昨年、収穫したイモが次代を育む種イモに】

これまでの人生を振り返れば、農作業を手取り足取り教えられたわけではないが、折に触れ思い浮かぶ「千に一つも仇(=仇花→実のならない無駄な花)はない」親の言葉や生活に向かう姿勢の記憶をたどることで、日々の生活にかかわる多くのことを形にできている。
なお、「清明」を迎えるころには、桜の開花に誘われるようにして、小カブ、つるなしインゲン、ミニサイズの大根、紫キャベツ、茎ブロッコリー、枝豆、オクラや丸オクラなども、種をまいたり苗を植えたりということができている。これからは、ピーマン、ミニトマト、ナス、キュウリ、カボチャ、まくわウリなども、「食べたい」気持ちに合わせて種類を増やしていく予定。
<穀雨を過ぎるころには>
4月に入るとすぐに、暦は「清明」を迎える。この時期になると、降雪の可能性はとても低くなり、種まきも安心で、各種の野菜苗も冷え込みに負ける可能性は、限りなく低いレベルに。
やがて「百穀を潤す雨」が降り始めることになり、田植えや種まきの準備に適する「穀雨」の日の前後からは霜の心配も薄れる。ここに至ると水やりも安心で、タイミングを考えつつ追肥を施し、雑草を取り除きながら成長を応援。
【小カブは、大きく育つよう成長をみて間引き】

<励まし、励まされながら…>
畑に入って野菜の世話をしていると、苗の育ちをサポートしているように思いがち。
実際はといえば、乾燥や暑さに負けることなく頑張っている野菜の姿を見るにつけ、自分が励まされているのもまた正直なところ。
ここ数年は、春の気分を穏やかに味わう期間がだいぶ短くなり、早々に夏を感じるほどの暑さが訪れる傾向にあるとはいえ、畑に出ては野菜たちに声をかけて励まし励まされ、共にまた1年を過ごしていきたいと思う昨今。
【枝豆の芽吹き~見るたびに「頑張れ!」と声が】

【美しいからか、美味しいからか~菜の花の黄色も春らしい~】
