みどころ
歴史ある味噌蔵「ヤマカノ醸造」の秘密
突然ですが、あなたは普段どんなお味噌を使っていますか?
スーパーで安かったものを何となく……という方も多いのではないでしょうか。
全国各地域で様々な特徴の味噌が作られていますが、宮城の味噌といえば、「仙台味噌」。伊達政宗公の時代から親しまれてきたお味噌は、しっかりとした色と味が特徴の赤味噌。そんな「仙台味噌」を作っている味噌蔵のひとつが、登米町(とよままち)にある「ヤマカノ醸造」です。明治42年頃創業した「ヤマカノ醸造」は、登米産の特別栽培大豆と特別栽培米などの地元の原材料を生かした仙台味噌を造り続けています。
登米県(とめけん)の時代、県庁所在地でもあったこの地は、今でも趣ある建物が数多く立ち並びます。当時は味噌・醤油蔵も数多くありましたが、現在は最も歴史の古い「海老喜」(天保4年創業)と「ヤマカノ醸造」の2軒が残っています。
蔵に隠された歴史
表通りに面した「ヤマカノ醸造」蔵の足場部分には通気孔があり、また窓付近には銅板が張り付けてあります。ここに歴史を紐解くヒントがあることを教えてくださったのは、五代目代表の鈴木彦衛さんです。
「大正12年の関東大震災の時、東京と横浜で多くの蔵が焼けました。この震災を踏まえ、この蔵は、当時最新の防火技術が施されていることが最近わかったんです。このことから、蔵が建てられたのは昭和元年頃と推測されています。」
また、当時登米県庁で働いていた実績がある政治家の後藤新平氏が、当時の山田家の母屋(現在「ヤマカノ醸造」)に泊まったことがある、という資料も最近出てきたそう。
現在、登録有形文化財としても申請中だという「ヤマカノ醸造」の蔵。味噌の蔵を歴史的な視点で見ると、また違った見え方になって面白いかもしれません。
通りに並ぶ、大正ロマンな建築を眺めるだけでも面白い
登米から世界に羽ばたく「仙台味噌」
味噌・醤油だけではなく、時代のニーズに合わせ、水産や畜肉の加工品向け調味料も多く手掛けている「ヤマカノ醸造」。国内はもちろん、味噌の広がりはワールドワイドです。
「昨年2019年はスペインでの文化交流にもお招きいただき、『仙台味噌』の魅力をPRしてきました。チーズやヨーグルトなど、お味噌と違えど、発酵食品を盛んに食べるスペイン。スペイン産イベリコ豚を使った味噌漬けは大好評でした。」
少しの量で旨味やコクを楽しめる「仙台味噌」は、豚汁などの具沢山な味噌汁に使うと、食材を引き立てとても美味しく楽しめます。
「それぞれのご自宅や地域によって慣れ親しんだ味噌の味は異なると思いますが、ご自宅の味噌に『仙台味噌』を加えて合わせ味噌にしたり、隠し味として使っていただけたらとても嬉しいですね。」と鈴木さん。
「仙台味噌」は登米町の飲食店でも使われています。味噌蔵を見て歴史を感じた後は、ぜひ、町内で腹ごしらえを。定食の味噌汁などでその味に出会えるかもしれませんよ。
ヤマカノ醸造
住所 宮城県登米市登米町寺池九日町1
電話 0220-52-2511
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