グルメ

食をベースに文化を共有する空間 CAFE GATI

登米ICを降りて、車で約5分。お店の看板は出ているものの、一見入り口がどこにあるかわからない円形の建物。裏へぐるりと回り小さな入り口から中に入ると、外観からは分からない高い天井と広々とした空間が広がっていて、まるでプラネタリウムを彷彿とさせます。

「建物を建てる時、螺旋階段とロフトは必ずつけたかった。」空間を見渡しながらおっしゃるのは、「CAFE GATI」オーナーの柴田道文さん。お店は今年で14年目に入ります。

自分たちが遊べる場所を

「カフェの隣にある整骨院は実家の家業で営んでいて、僕が継いで3代目。かれこれ80年以上続いている整骨院です。一方で、家業とは別に自分たちが遊べる文化的な場所を作りたいと思っていたこともあって、カフェをやることにしたんですね。」

整骨院とカフェ。全く異業種の二足のわらじを履くというのは相当な覚悟があったことでしょう。

「今でこそ登米に新しいカフェがいくつも出来ていますが、十数年前は全然なかった。ましてや、音楽や写真など自分が好きなことを軸にして飲食店をやっているところはなかったので、鼻で笑われるような感じでしたよ。それでも、気合いでやってやる!と思ってやってきました。」

本棚は写真集やアートブックなどが多く、オーナー柴田さんの趣味嗜好が伺える
棚に置かれたドラムセット。広々とした空間を生かして、定期的な音楽ライブも行っている

新しい仲間を迎えて

東日本大震災を経て、想いと気合でここまで続けてきたという柴田さん。お店を続けていく過程で、スタッフの結婚や出産などもあり、新しい体制を整える必要性を痛感するようになっていきます。

そして、3年前から、カフェの飲食全般を担う新しいメンバーとして佐藤さんが仲間に加わりました。

「柴田さんとは仙台でのイベントなどでお会いしていましたし、僕は高校の時にバスケをやっていたので、隣の整骨院にはお世話になっていました。まさかお店で働くことになるとは思っていませんでした。」と、声をかけられた当時を振り返る佐藤さん。

カフェの他に、登米の能舞台「森舞台」での音楽フェス『森波』も手がける柴田さん。伝統的な能舞台で、ジャンルにとらわれないアーティストのライブや食を楽しむイベントは、登米の新しいカルチャーとして根付いています。

「お店に佐藤さんに加わってもらったことで、週末の勤務体制を新たにし、会社の規模も広げました。以前は、平日も週末も働いてもらっていたスタッフもいて、負担をかけてしまいながら何とかやっていたのですが、そういった“延命措置”をサスティナブルにできたことで、カフェだけではなく、イベントなどにも集中しつつ、僕自身のやるべきこともクリアになってきましたね。」

お昼時の店内、スタッフのお客さんを迎える明るい声が飛び交う

地域とほどよく付き合うメニュー

「CAFE GATI」は、平日の朝9時から11時まで、モーニングとして、ハムサンドやバナナのケーキとコーヒーのセットなどの軽食を提供しています。

「整骨院が朝8時半から開いているので、駐車場で待っている患者様が結構いらっしゃったんです。それならば、暖かい場所で過ごせる場所があったらいいなというところからモーニングをスタートさせました。」

飲食全般を担う佐藤さんがメンバーに加わり、メニューも見直したそう。

「以前は固定メニューがなかったのですが、あそこに行けばあのメニューが食べられるという安心感も必要なのかなと思うようになりました。

土地柄、農家や生産者の方も多くいらっしゃるので、朝採りのベビーリーフや、モッツアレラチーズを作っている方から頂いたフレッシュチーズを料理に使ったりできるのはとても嬉しいことですが、それも無理がない範囲で。“地産地消”にこだわりすぎることで僕ら自身が苦しくなるのは違うと思うし、できる範囲で続けていくことが大切だと考えています。」

登米市東和町の「狼河原チーズ工房」のモッツァレラチーズを使ったトマトソースパスタ。濃厚なソースにフレッシュなチーズの味が引き立つ。サラダの野菜も登米産
モーニングとしても提供しているバナナとくるみのケーキは、食べ応えのあるサイズで程よい甘さがおめざにぴったり

文化を生み出し続ける空間へ

柴田さんの話からは伝わってくるのは、「続けること」の難しさや大切さ。それは、登米でカフェを10年以上続けることが出来たからこその言葉の重みです。

「今の時代、SNSである程度繋がっている感覚がある。僕自身、お店をスタートさせた時はブログ全盛期で、更新頻度を上げることで急激にいろんな人と繋がったという実感がありました。でも僕らがやっているのはカフェ。カフェは空間で、いろんな人が出入りする場所。実際に物理空間がないと人が交わらないし、文化が生まれない。

SNSの力はお店を運営する上で必要ではありますが、そこで“瞬間最大風速”をあげるのではなく、人と実際に会える場として、本質的なところで続けていきたいですね。ちなみに、うちのケーキは美味しいですが、全然“映え”ませんよ(笑)」

 

CAFE GATI

https://cafe-gati.com/

住所 〒987-0704 宮城県登米市登米町日野渡内の目320-1

電話 0220-52-2152

営業時間 平日 9:00~17:00 土・日・祝 11:00〜17:00

定休日 火曜日

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