くらし
登米師対談 「お寺カフェ夢想庵」・杉田史さん× 登米市まちづくり推進部・小野寺崇さん
登米で活動する登米の魅力の伝道師、その名も「登米師」が対談。
今回は、登米師であり「お寺カフェ夢想庵」のオーナー・杉田史さんと、登米市まちづくり推進部の小野寺崇さんが対談しました。
登米師って何?
- まずは、「登米師」について教えていただけますか。
小野寺:「登米市に住み、登米市をこよなく愛し、固有の職能や秀でた技能を有する登米市民」を掲げた登米の魅力の伝道師のことで、2018年に17人1団体が任命されています。
2019年からは、「うまし、たくまし、登米市」のキャッチフレーズを掲げ、市内外のお祭りやイベントにキャラバンカーで出店し、はっと汁のお振る舞いなどで登米の魅力を発信する、「TOME HATTO CARABAN(トメ ハットキャラバン)」を展開しました。
- 杉田さんは、そんな登米師の紅一点「癒しの伝道師」に選ばれています。
杉田:私、全然癒しキャラじゃないんだけど(笑)。あ、でもお寺カフェは癒しですよ。
- お二人の出会いを教えてください。
杉田:3〜4年前、登米師のプロモーションポスターの写真撮影の時ですね。
小野寺:元々、登米市のPR動画1作目の撮影から、ロケ地として柳津虚空蔵尊を提供していただいたりしていたので、杉田さんのことは存じ上げていました。それに、登米師に誰がふさわしいか、市民の皆さんの意見を聞いた時に、満場一致で「史さんでしょ!」って名前が挙がって。
杉田:ほらほら、名前が出ちゃうわけよ(笑)。
実は、一昨年の台風被害の時、小野寺さんが部下の方々を連れてボランティアで泥かきをしに来てくれて。
私自身、私がさせて頂いたことで相手の人が負担にならないように気をつけているんですが、小野寺さんもそんな感じ。「いいんです、気持ちだから」って全くひけらかさない。町のために、人のために、駆け引きなしで動いているのが尊敬しているところです。
ちなみに小野寺さんは、登米の伝統野菜・観音ぜりを摘むボランティアもやっているんですよ。
小野寺:そうですね。今のまちづくり推進部に来る前に、ブランド戦略室で食材のプロモーションを担当していました。
観音ぜりは、元々仕事で担当していた食材なのですが、プロジェクトが終わってしまうということで勿体ないなと思い、引き続きボランディアでやりましょうか、という話になって。でも、自分たちが食べたいからこそやっているんです。
杉田:人の「気」ってすごいなって思うんですよ。人が集まって誰かのために動いている。そういうのが大事かなって思います。
- 町を盛り上げることについて、普段から考えていることはありますか。
杉田:町おこしの定義って様々だと思いますが、私は、最初からみんなでやろうではなくて、一人でもやれる気概がある人のところに人が集まるのが理想だと思います。秀でた1点があれば、街全体がそこに引っ張られて引き上げられる。
あの人がいるからとか、こういう場所やものがあるっていうところを磨いていくことが大事だと思います。
小野寺:まさに「登米市の登米師」は、杉田さんの仰るところの魅力を尖らせる企画。観光も人だと思うので、「この人に会いに来たい」っていう存在が増えるのが良いなって思います。
登米っぽい=おしゃれ?
杉田:昔は、田舎に住んでいるだけで引け目がありました。今は、都会が良くて田舎がだめだっていう価値観がだいぶ壊れてきているでしょ?
私は、「登米っぽい」=おしゃれになるまで頑張ろうって思っているんです。「真・善・美」っていう言葉がありますが、真実なもので、善いもので、美しいものって、突き詰めていくとおしゃれなものだよねって思うの。京都っぽいっていうだけで、何か伝わるものがあるじゃない?
「登米っぽい」は、癒しもあって、ほっこりしていて、でもおしゃれの代名詞。そして、そういう町になってきている気がする。カフェも増えているし、若い世代の農業の取り組みも広がっている。
杉田:ブランディングとプロモーションってすごく大事ですよね。良いだけでは買わない。みんなに知ってもらえるように発信しなければならないし、それに対して価値を感じるようなプロモーションをしなければならないと思います。
小野寺:そういう点では、食材は大事ですね。観光全体を見ても、やっぱり食材の力は偉大で大事だなと思います。
住んでいる人も活躍できる街へ
- 登米の魅力をさらに高めるために、これからやってみたいことはありますか?
小野寺:これまでは、登米師の方々にはイベントに出ていただいていました。杉田さんにはコーヒーを淹れていただきましたし、古武道をやっている方には演舞をやっていただいたりしました。
今後は、登米師同士のコラボが実現できたらいいですね。登米師に木工職人とスケートボーダーがいるので、木工でスケートボードを作ってみるとかはどうかな?と思っています。
杉田:登米市は、夏休みの自由研究をするのに最適な環境。木工もできるし、川があるから生態系の研究もできる。登米町で歴史の研究もできる。そういったことを、シニア層の力を借りてちゃんと仕事化して、生きがいづくりにすることができたらいいなと思います。
登米には古民家などの空き家が沢山あるので、お産の家を作れたらいいなとも思います。以前助産師や看護師をしていて、今リタイアしている人がお産をサポートできたら良いですよね。
観光で来てくださる方へアプローチするのはもちろん大事だけれど、住んでいる人にとっての魅力を上げることも忘れてはいけないと思います。住んでいる人が能力を発揮できるようにして、楽しんでやる。楽しんでいるところに人が集まるんだから。
- 登米に初めていらっしゃる方に、おすすめしたい場所はどこですか?
小野寺:まずは、「お寺カフェ夢想庵」でおいしいコーヒーを飲んで、史さんに会いに来て欲しいなって。
杉田:すみません、宣伝してもらって(笑)。でも本当はそこだけは言ってねってお願いしておいたの(笑)。
小野寺:長沼・伊豆沼の自然、渡り鳥の朝の飛び立ち、ねぐら入りも、他ではなかなか見られないものなので、是非見ていただきたいですね。
杉田:登米にはお寺やカフェが多くあるので、ご朱印帳巡りをしたり、カフェ巡りをしたりするのは楽しいと思います。北上川や長沼周辺はとても気持ちが良いので、車をどこかに停めて、ぶらぶら歩きながら自然の「気」を感じてほしいですね。
- 三陸沿岸道路「気仙沼港IC~唐桑半島IC」開通で、ますます近くなりましたね。
杉田:今までより30分は時間短縮できますね。ただ、素通りされない町づくりをしなくちゃね。通過点ではなく、立ち寄りたいって思ってもらえる町にしていきたいですね。
撮影:志村千恵
登米市の登米師
https://tome-pr.jp/tomemusou/introduce.html
山奥で幸せを祈願する お寺cafe夢想庵